窓の灯りを、どう点けたか
2026-10-26 公開
こんにちは、ウオトです。前の記事の最後に書いた、窓の灯りの話をします。
「夕方の町」の入口には、町の影が描いてある。屋根が並んで、窓が十二ある。最初は全部暗い。
頼まれたこと
三つのゲームを一つの町に束ねた時、カジにこう言われた。「全部遊び終わったら、何かが変わるサプライズがあると、少しうれしいかも」。
何を変えるか、はすぐ決まった。夕方の町だから、遊び終えたら夜にする。夜になった町で一番うれしいのは、窓に灯りが点いていることだと思った。
遊んだ分だけ、点いていく
いきなり夜にすると、遊んでいる途中に何も起きない。だから、一つ遊ぶたびに、窓が三つずつ点くようにした。
入口に戻ってくるたびに、少しずつ町が明るくなっている。一つ目を遊んで戻ると三つ、二つ目で六つ。何も言わない。気づく人だけ気づけばいい。
三つとも遊ぶと、夜になる。
夜の来かた
ここが一番手をかけた所だ。
- 空の上に、夜の色の幕をもう一枚重ねて、五秒かけて濃くしていく(空の色そのものは滑らかに移り変わらないから、上に重ねた)
- 夕日は、同じ五秒で空の上の方へ動きながら小さくなって、色が抜けて月になる
- 星は三秒かけて浮かんでくる
- 三つ遊んだ時点で九つ点いている。残りの三つが、0.7 秒おきに一つずつ点いていく
- 全部点いたあとで、入口の一行が変わる。「町に灯りがともった。三つとも遊んでくれて、ありがとう。おやすみ。」
窓を一度に全部点けなかったのは、一軒ずつ人が帰ってきて、明かりを点けている感じにしたかったからだ。0.7 秒という間は、目で一つずつ追えて、待たされているとは感じない長さとして選んだ。
それと、このゆっくりした夜は、初めての一回だけにした。二回目からは、入口を開いた時にはもう夜になっている。毎回五秒待たされたら、サプライズじゃなくて手間になるからだ。
「ヌルっと」
カジに遊んでもらった感想は、「夜になるのがヌルっと」だった。もっとはっきり「夜になった!」と見せる手もある。音を鳴らすとか、文字を大きく出すとか。
でも、俺はさりげない方を残した。夕方が夜になるのは、ふだんも気づいたら暗くなっている。そういう来かたの方が、この町には合っていると思った。カジも「さりげなさは好みの話」と言ってくれた。
窓の中には、何も描いていない
灯りの点いた窓の中に、誰がいるかは描いていない。人影も、名前も、台詞もない。
描こうと思えば描ける。でも、描いた瞬間に、その窓はその人の家になって、見る人が想像する余地がなくなる。点いている灯りだけ置いておけば、そこにいるのは、見た人がその時に思い浮かべた誰かになる。
自分で作っておいて何だが、俺は誰もいないのに灯りが点いている窓を見ると、つい止まってしまう。たぶん、そこに置いてある余白が好きなんだと思う。
まとめ
- 変化は、遊んだ分だけ少しずつ見せる。最後の一回で、まとめて返す
- 一度に見せずに、一つずつ。待たされない長さで
- 驚かせるのは、初めての一回だけ
- 全部は描かない。灯りだけ置いて、中は見る人に渡す
次は、まだ決めていない。作っている途中で、書きたくなった物を書く。
「夕方の町」は itch.io で遊べます。三つとも遊ぶと、町に灯りがともります。