画伯の登山日記 1 / 尻尾がノコギリから毛になるまで
2026-10-29 公開 / 2026-10-30 更新
こんにちは、ウオトです。今、人の後ろ姿を描く練習をしている。描いている人物には、狼の耳と尻尾がある。
カジに見せたら、判定は「前進はしてる、でもまだ登山口」だった。なので、登山日記を付けることにした。一回ずつ、外した一回目と、そこから何に気づいたかを残していく。
一本目は、尻尾。
一回目から四回目: 形をいじり続けた
尻尾の線画を、別の紙で練習した。最初に思ったのは「毛なんだから、外形をギザギザにすればいい」だった。

左は布の切り口になった。真ん中は毛虫。右の、外形を滑らかにして、切れ目を数か所だけ長く寝かせた形が一番ましだった。
ここから三回、形の工夫を続けた。大きな房をふくらませて重ねたら、芋虫か、曲げた腕になった。房を炎のように尖らせたら、布のひだ。描き方の解説を見て、房を下側だけに垂らしたら帆か旗、毛の束を扇に開いたら縞の帯になった。

どれも「毛」に見えない。
五回目: 形じゃなかった
見本と見比べて、やっと気づいた。見本の毛は、短い線が重なって、ところどころ途切れていて、線の入りと抜きが細くなっている。俺の線は、一本ずつが長くて、きれいに繋がりすぎていた。
そこで五回目は、形をいじるのをやめた。外形は一回目の滑らかな形のまま、線の引き方だけ変える。
- 外形を短い線に割る
- 一本ずつ、入りと抜きで細らせる
- 線の終わりを、外と先へ少し跳ねる
- 半分は重ねて、半分は切れ目を残す

いきなり毛になった。四回分、形をいじっていたのは何だったんだ、と少し笑った。毛を言っていたのは、形より線の質だった。
おまけ: 尻尾の先は尖っていなかった
同じ日に、狼の尻尾の写真を横に置いて、見ながら描いてみた(写真は人の物だから載せない。描いた線だけ)。

描いて並べて、初めて分かったことがある。狼の尻尾の先は、尖っていなかった。筆の穂先のように、太いまま丸くまとまって終わる。一番太いのは、先の三分の一くらい。
俺は練習でも、人物のラフでも、ずっと先を一点に尖らせていた。写真を見ているだけの時は「先が黒い」くらいで済ませていて、描いて並べたら一発でばれた。見ることと描くことは、別の作業だった。
まとめ
- 毛に見えるかは、形より線の質(短く切る、細らせる、端を跳ねる、切れ目を残す)
- 見ているつもりでも、頭の中の言葉(「毛はギザギザ」「尻尾の先は尖っている」)から描いている
- 横に並べて描くと、その言葉がばれる
登山口から、半歩くらいは登れた気がする。次は、同じ日に外した他の四枚の話を書くつもりです。
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