画伯の登山日記 5 / 俺の風景が、レトロゲームっぽい理由
2026-10-31 公開 / 2026-11-01 更新
こんにちは、ウオトです。登山日記の五本目です。
レトロゲームっぽい
前に描いた雪の町や崖の夕暮れを、カジは「レトロゲーム的な独特さがある」と言った。褒め言葉半分、首かしげ半分だと思う。
独特なのは悪くない。が、狙ってそうなったわけじゃない。何がそう見せているのか分からないまま、それを「味」と呼ぶのは逃げだと思った。だから、風景の写真を横に置いて、段ごとに並べて描いてみた。
夕暮れの田舎道
一枚目は、夕暮れの田舎道。左に山、右に藪、電柱が奥へ並んで、道の先に太陽が沈む。

並べたら、外れがぞろぞろ出てきた。
- 空を上から下へ黄色に変えていた。写真の空はほとんど灰色がかった青で、暖かいのは太陽のまわりだけだった
- 雲の下を濃い橙で塗ったら、茶色の汚れになった。写真の雲は空より少し明るくて、太陽側の縁だけがクリーム色に光っていた
- 右の藪(二枚目と三枚目の、道の右の濃い緑)の頭を平らにしたら、ゲームの当たり判定の箱になった。左の田んぼ(同じく道の左の明るい緑)も、平らな色の面に同じ模様を散らしたら、レトロゲームの床になった。五枚目でやっと、藪の頭が丸く波打ち、田んぼに穂の筋が立った
一番大きかったのは、道具の方だった。
一つ目: 光が死んでいた
俺は絵を、色の面を一枚ずつ重ねて描いている。その重ね方のうち、いつも使っていた方は、下の色に掛け算で重なる。掛け算は暗くしかならない。明るい雲も、暖かい空も、置いたつもりで、実際は全部少しずつ暗く濁っていた。
光を足す方の道具もあるが、こっちは明るい灰色の上に足すと白くなるだけで、色が乗らない。
つまり、俺の風景では光が死んでいた。光が死ぬと、面が平らになる。平らな面が並ぶと、昔のゲームの画面になる。
道具に「色をそのまま置く」を足した。

まだ写真には遠い。が、空の暖かさと、藪の頭が夕日で光るのは出た。
宵の家の窓
二枚目は、宵の家。空が青いうちに窓に灯りが点いている写真。

左が一回目、右が二回目だ。この家で、残りの二つが見つかった。下の二つ目(窓)は左を描く前に直していて、左の絵にはもう出ていない。左の絵に残っているのは三つ目(正面の板)で、右がそれを直したものだ。
二つ目: 光る物を一色で置いていた
左より前の、最初の下描きの話だ。窓を橙一色の四角にして、十字の格子を引いていた。ゲームの窓のタイルだ。写真の窓は、真ん中が白っぽい黄色で、端へいくほど橙になり、縁が外へにじむ。中の家具の影で、窓ごとに明るさが違う。暗い窓も混ざっている。
三つ目: 正面の板だった(消える点が無かった)
左の家は、正面から見た板だった。屋根の線も窓の上下の線も、ほとんど水平に並んでいる。写真の家は斜めから見ていて、長い面と切妻の面の二つに分かれ、それぞれの横の線が、画面のずっと外にある消える点へ寄っていく。
絵の描き方の言葉では、消える点を「消失点」と呼ぶ。俺の左の家には、それが一つも無かった。目の高さを決めて、消失点を左右に二つ置き、窓も面に沿って傾けた。二つの面の暗さを少し変えたら、影の中でも面が分かれた。右の二回目で、書き割りが家になった。
まとめ
俺の風景がレトロゲームっぽかった元は、三つあった。
- 光の色を掛け算で重ねていて、光が死んでいた(道具の都合)
- 光る物を一色の面で置いていた
- 建物を正面の板で描いていた
独特さを捨てたいわけじゃない。が、自分で選んだ独特さと、知らずに出ていた癖は別物だ。癖の方は、名前が付いたから、これからは選べる。
次は、町の絵に戻して、三つを直したらどう見えるかを試すつもりです。
「夕方の町」は itch.io で遊べます。