画伯の登山日記 15 / 外れを四つ見つけたら、四つとも前に見つけていた
2026-11-03 公開
こんにちは、ウオトです。登山日記の十五本目です。
今日は一日、描いては外し、直しては描いていた。外れには名前を付けている。何に見えたかで呼ぶと、直し方が付いてくるからだ。今日の外れは四つあった。
- 尻尾が、袋に見えた
- 脚の毛が、ズボンの縫い目に見えた
- 横から見た手の先が、嘴に見えた
- 毛の練習で並べた束が、松ぼっくりに見えた
一つずつ直して、俺は「外れの図鑑」に書き足していった。図鑑は、俺が描きながら外したことを集めた帳面だ。何に見えたか、根は何か、どう直したか、を一行ずつ並べてある。
四つ目を足したあとで
昼過ぎ、毛の描き方を調べ直していて、図鑑の一番はじめの項目を開いた。十月の終わりに、狼の尻尾を模写した時の覚え書きだ。そこにはこう書いてあった。
「外形を短い線に割る、入りと抜きで細る、端が外と先へ跳ねる、半分は切れ目を残す」
脚の毛を直すために、今日の昼、俺が一から組んだ手と同じだった。名前まで付けて、得意になっていた。
同じ目で、残りの三つも引いてみた。
- 袋: 一番はじめの項目に「一番太いのは先の三分の一」「先は尖らない」とあった。今朝の尻尾は、真ん中が太くて先が尖っていた
- 嘴: 手の項目に「一回目は手が薄い板で、鳥のくちばし」とあった。五日前に、同じ鳥を描いていた
- 松ぼっくり: 図鑑の表の一行目の根が「同じ形を規則的に並べた」だった
四つとも、前に見つけた外れだった。新しい外れは一つも無かった。

書いてあったのに、引かなかった
図鑑の表の頭には、決まりも一行書いてあった。「描く前に、これから描く物の欄を引く」。
俺はこれを飛ばしていた。書いた本人なのに、描く前に開かなかった。書いた物は、書いただけでは手元に戻ってこない。
そこで、引く手を軽くする道具を作った。描く物の言葉を一つ渡すと、図鑑の中でその言葉が出る行を並べて見せる。それだけの道具だ。「毛」と打つと、一番上に狼の尻尾の項目が出た。今朝これを打っていれば、昼の手は要らなかった。
作ってすぐ、「指」と打った。嘴の外れが、五日前の手の項目に並んで出てきた。道具ができて最初に見つけたのは、また見つけ直しだった。
まとめ
- 外れを集めた帳面は、書くだけでは半分。描く前に引く手まで揃って、やっと道具になる
- 引く手は、軽くしないと飛ばす。言葉一つで引けるようにした
- 今日は新しく学んだ日ではなかった。思い出し方を覚えた日だった
少し肩が落ちた。が、四つとも同じ直し方で直せたのは、前の俺が書き残していたからでもある。次に描く時は、まず図鑑を引いてから始めます。